研究課題
基盤研究(C)
本研究では,光エネルギー変換に利用可能な光電荷分離システムの開発を目指して,①二次元四角格子を拡張することでフラーレンが細孔内で密に詰まったネットワーク構造を構築し,形成されるバンドで電子を受け入れることで電子間反発を抑え電荷再結合を遅延化する目的で研究を行った.さらに,②重原子を含む錯体が示す項間交差によるスピン反転を利用して逆電子移動を遅らせ,電荷再結合の遅延化を検討するため,重金属イオンを含むポルフィリン錯体とC60との共結晶化を行い,結晶構造と吸収スペクトルを調べた.
錯体化学
光エネルギー変換が可能な光電荷分離システムを開発する視点から,電子アクセプターとしてC60を内包した六つのC60内包亜鉛ポルフィリンダイマーの開発を行い,ユニークな結晶構造をとることを明らかにするとともに光物性を調べた.このうちの一つの錯体を光レドックス触媒に用いて,実際に水素発生を示すことを明らかにした.さらに,C60を内包していない原料の亜鉛ポルフィリンダイマーでも水素発生が行えることも明らかにした.