研究課題
基盤研究(C)
アントラサイクリン系抗がん剤を含むイオン性薬剤の膜表面・膜透過反応機構について,混ざり合わない二種の液体の界面(液液界面)を生体膜のモデル反応場として利用することで分光電気化学的に研究した。また,液液界面やリン脂質膜表面で特異的に生じる水溶性テトラフェニルエテン誘導体の凝集誘起発光挙動を明らかにした。さらに,多分岐高分子とイオン性薬剤のイオン会合体形成や薬剤の膜反応挙動に対する影響を精査し,デンドリマーの薬剤キャリアとしての機能性を評価した。
界面分析化学,分光電気化学
モデル反応場を用いてイオン性薬剤の生体膜における表面吸着や膜透過反応の機構を解析する方法論を示し,薬剤の分子構造と薬物動態の相関を検討する上で重要な知見を得た。また、多分岐高分子との複合化による薬剤の相間分配挙動の制御に限定的ながら成功し,多分岐高分子がドラッグデリバリーのための薬剤キャリアとして有用であること確認した。さらに液液界面や膜表面で選択的に生じる凝集誘起発光の反応系を見いだし,膜表面を対象とした電位感受性蛍光プローブとして応用できる可能性を示した。