本研究では、セレン化合物を基本骨格(キーマテリアル)として取り上げ、その特異な機能と結合特性を活用した機能性高分子材料の創成を実現した。セレン含有ビニルモノマー類は多様な構造類似体が合成可能であり、機能性材料のリード化合物としての有用性を見いだした。さらに、セレン化合物を活用した機能性高分子の設計指針・合成手法を確立すると共に分子構造-材料特性の相関を学術的観点から明らかにした。我が国のセレンの生産量は世界の約25%にのぼり、日本が優位性をもって産出することのできる数少ない資源である。このセレンを有効に機能性材料へと変換する手法を開拓した本研究成果は、極めて大きい社会的意義があると言える。
|