本研究の成果であるNAダイマーは、CAGリピートDNA・RNAの両方に結合する、これまでになかったタイプのRNA結合性低分子であり、重篤な神経変性疾患であるCAGリピート関連病の発症・重篤化の機構を明らかにするための分子プローブとして期待される。さらに近年、国内外でRNA標的低分子創薬が急速に進んでいるが、RNA-低分子複合体の具体例が少ないこと、低分子とRNAの複合体構造予測が困難である点が、RNA標的低分子創薬のボトルネックになっている。NAダイマーはその貴重な具体例であり、今後、複合体構造を明らかにしていくことでRNA標的低分子創薬を推進するリード化合物となることが期待される。
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