樹木の冬季環境への適応機構の一つとしてカリウムの回収・分配機構に着目して研究を行った結果、短日を認識したポプラの節では、転写因子MYB59の発現が誘導され、その制御下にあるSKORならびにNRT1.5という細胞外へのカリウム排出を担う輸送体の発現が誘導されるという現象を明らかにした。これらの輸送体は長日条件と短日条件でその局在部位を大きく変化させており、この局在変化が短日条件におけるカリウムの回収・分配制御に関与しているものと考えられる。また短日をトリガーとしたカリウム分配制御には植物ホルモンのオーキシンが直接あるいは間接的に関与している可能性を見出し、樹木の環境適応の一端を明らかにした。
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