研究課題
基盤研究(C)
概日時計の温度補償性は、温度が変化しても周期長が変化しない、すなわち、振動の速度が温度に対して一定に保持される、この特性の基盤となる分子機構については大きな謎である。本研究は、シアノバクテリアにおける時計タンパク質KaiCが内包するATPase活性の温度補償性が担保される分子機構を明らかにすることを目指した。KaiCのATPase活性の測定を諸条件下で実施した。またKaiC-likeタンパク質を精製し、KaiCの生化学的特性と比較した。温度補償性は、KaiCに特有の性質であることが示唆された。
植物生理学、時間生物学
Kaiタンパク質による概日時計再構成系は、試験管内で時間発振可能なタンパク質による唯一の概日振動システムである。動物や植物において生体内で高次な機能をもつタンパク質複合体は多く見出されているが、24時間周期でその機能が変動するタンパク質はこれまでに知られていない。アレニウスの式に示されるように、酵素反応の速度定数は温度が増すにつれて指数関数的に増加する。このような通常の酵素反応が適応されない温度補償性の分子機構解明は、これまでの生化学とは異なる角度から生命現象を理解しようとするものである。