胚乳は胚の生育を支える栄養を供給するとともに、穀類においては農業形質を決める重要な組織である。また種間・倍数体間交雑における生殖隔離の場でもあり、進化的な役割も大きい。このような胚乳の多様な役割の背景には、エピジェネティックな制御が不可欠であるがその分子機構の理解は限られている。分子機構の解明に直接関わる成果とともに、エピジェネティック修飾をはじめとする胚乳発生に伴う様々な情報の蓄積、ゲノムワイドシーケンスや生化学実験等における方法論の確立・改良、変異体やタグ付きタンパク発現イネなどの実験材料の拡充といった成果も含めて、胚乳の成り立ちや役割の理解、育種への利用へと貢献することを期待している。
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