酸素漏出バリアは水の多い環境に適応した湿生植物がもつ耐湿性の重要形質である。イネは過湿ストレスを受けてから誘導的にバリアを形成するが、これまでのイネをモデルとした形成機構の研究ではバリア形成を決定づける上流の鍵遺伝子は特定できていない。本研究により、アマゾン川流域に分布するAAゲノム野生イネO. glumaepatulaの中に、過湿ストレスを受ける前から恒常的に酸素漏出バリアを形成するエコタイプが特定できた。さらに、この野生イネの染色体断片をイネに導入した染色体部分置換系統の中に、恒常的バリアをもつ系統を発見した。野生イネのもつ、恒常的なバリアを形成させる遺伝子の同定に向け研究が進展した。
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