令和元年度は、pen2 CCA1ox系統を作出した。この系統では侵入抵抗性の顕著な低下が観察された。この結果から、シロイヌナズナのイネいもち病菌に対する非宿主抵抗性において、概日時計CCA1が正の制御因子として機能していることが示唆された。次に、葉の表皮細胞特異的CER6プロモーターの下流にCCA1およびTOC1をつなぎ過剰発現させた系統をそれぞれ作出した(pen2 CER6-CCA1およびpen2 CER6-TOC1)。pen2 CER6-CCA1系統において侵入抵抗性の顕著な低下が観察された。この結果から、シロイヌナズナのイネいもち病菌に対する非宿主抵抗性において、葉の表皮細胞のCCA1が正の制御因子として機能していることが示唆された。 令和2年度は、pen2 変異体およびpen2 CER6-CCA1 系統を用いてRNAseq 解析を行った。その結果、概日時計 CCA1 が制御していると予測される遺伝子を複数同定した。これら遺伝子の中にはプロモーター領域に CCA1 結合配列を含む遺伝子も同定された。 令和3年度は、表皮細胞特異的「出力系」候補遺伝子中に抵抗性関連遺伝子PMR5 遺伝子を見出した。PMR5 遺伝子のプロモーター領域には CCA1 結合配列が存在したことからChIP-seqデータを解析したところ、PMR5 遺伝子が CCA1 の直接の標的遺伝子であることが示唆された。さらにpen2 pmr5 およびpen2 mlo2 nahG pmr5 変異体についてイネいもち病菌に対する非宿主抵抗性を解析したところ、侵入抵抗性の顕著な低下が観察された。 以上の結果より、シロイヌナズナのイネいもち病菌に対する非宿主抵抗性においてCCA1-PMR5モジュールが組織特異的かつ時間特異的制御に関わることが示唆された。
|