農業害虫の多くを含むチョウ類に最も近縁な水生昆虫のトビケラについて染色体の進化解明を研究対象とした。蛍光色素ラベルにより特定のDNA配列を染色体上で視覚化できるFISH法を用いるため、既存1種に加え新規2種のトビケラ類のBACライブラリーを構築した。BAC-DNAを用いたFISHマッピングにより、3種の遺伝子配置を特定し、モデルチョウ目昆虫のカイコゲノム情報と比較した結果、進化的な上科ではカイコと染色体対応関係が認められる一方、祖先的な上科では認められなかった。よって、カイコを代表とするチョウ目昆虫染色体の祖先形は、トビケラ目昆虫の進化的な上科と共通すると考えられた。
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