近年急速に個体数を減らしているオオセグロカモメは、漁業廃棄物や残飯などの人工餌をよく利用する。一般に栄養価が低い人工餌への強い依存は本種の繁殖成績を低下させる可能性があるがその影響はよくわかっていない。本研究では、GPS追跡と繁殖モニタリングを併用し、本種の人工餌の利用が繁殖に及ぼす影響について個体レベルで明らかにした。本種は漁港や水産加工場などの人工環境で採餌した場合、巣を出発してから餌を巣に持ち帰るまでの時間が長く、持ち帰る餌の重量と栄養価は少なかった。これらの結果より、本種が人工環境を利用すると、給餌効率が低下し、潜在的に繁殖成績が低下することが明らかとなった。
|