あて材の細胞壁ミクロフィブリル傾角と細胞壁主成分の含有率は正常材に比べて大きく異なる。ミクロフィブリル傾角は、木材の物理的性質に影響をおよぼす重要な材質指標である。樹木がどのように細胞壁形成を制御しているのかを理解する上で、あて材形成は極めて興味深い研究対象である。また、針葉樹人工林のみでは、木材需要の変化に対応できず外国産材に国内需要を今以上に奪われる。近年、国産早生広葉樹による木材生産の可能性が注目されており、スダジイは日本の主要な広葉樹材資源である。広葉樹人工林導入には木部形成の基礎的知見が必要である。本研究で得られた成果は、木材材質の制御や広葉樹林業促進に貢献できる知見である。
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