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2020 年度 実施状況報告書

魚類筋肉pH調整に及ぼす食餌性エルゴチオネインの影響

研究課題

研究課題/領域番号 19K06235
研究機関東京海洋大学

研究代表者

大島 敏明  東京海洋大学, 学術研究院, 名誉教授 (70134856)

研究分担者 石川 雄樹  東京海洋大学, 学術研究院, 博士研究員 (50638004)
長阪 玲子  東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (90444132)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードエルゴチオネイン / トランスポーター / ノックダウン / 化学型 / ニジマス / キノコ / メタボローム解析 / プロトンプール
研究実績の概要

2020年度実施項目②:ニジマスにおけるエルゴチオネインの取り込みに関与するOCTN1様輸送体タンパク質の存在
RTG-2細胞におけるETT候補(E1)のノックダウンは、E1mRNA発現の顕著な減少をもたらした。 ETの取り込みは、ノックダウンを実施したグループの方がコントロールグループよりも低かった。このとき、ノックダウングループのETの細胞内への取込みは著しく抑制された。以上から、E1がニジマスのETTとして機能することが示唆された。食餌からのETの取り込みと、筋肉へのその蓄積の根底にある経路を部分的に明らかにできた。
2020年度実施項目③:エルゴチオネインの化学形に及ぼすpHの影響
ESHを酸化して得たESSEを検出し,UPLCによる分離条件を決定した。過酸化水素を用いた酸化処理によりESHが酸化され、TLC上でESHのスポットと移動度が異なるスポットが原点付近に検出された。過酸化水素による酸化処理の後に2-メルカプトエタノールによって還元処理をすると、原点付近のスポットが消えESHと同様のスポットのみとなった。過酸化水素によってESHが酸化されESSEとなり、ESSEのジスルフィド結合が2-メルカプトエタノールにより還元されESHとなったものと推測した。
2020年度実施項目④:プロトンプールとしてのエルゴチオネインの化学形とpH調整機能
ESH標品及びタモギタケ熱水抽出液をニジマスに給餌し、筋肉におけるESHの代謝変動を確認した。メタボローム解析の結果から,ESH単体及びESHを同量含むタモギタケ熱水抽出液の給餌は、ニジマス筋肉中の代謝に影響しないことが示唆された。また、ESH標品給餌区と比較して、タモギタケ熱水抽出液給餌区におけるニジマスの筋肉中ESH量が高くなったことから、タモギタケ熱水抽出液中の成分が筋肉へのESH蓄積を促進することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題における三つの実施項目各々の達成度は,おおよそ下記のとおりである。
① ニジマスにおけるエルゴチオネインの取り込みに関与するOCTN1様輸送体タンパク質の存在:2020年度の実施項目は90%が達成され,その一部は現在国際誌に投稿済みである。
② エルゴチオネインの化学形に及ぼすpHの影響:ESHを酸化して得たESSEを検出し,UPLCによる分離条件を決定した。2020年度実施計画の80%程度を達成できた。
③ プロトンプールとしてのエルゴチオネインの化学形とpH調整機能:ニジマスの給餌試験を実施し,筋肉成分のメタボローム解析まで実施できた。2020年度計画の70%程度は達成できている。

今後の研究の推進方策

「①ニジマスにおけるエルゴチオネインの取り込みに関与するOCTN1様輸送体タンパク
質の存在」については,第2報目の投稿論文原稿の執筆がほぼ終了している。早急に投稿する予定となっている。
2021年度に継続実施予定の「②エルゴチオネインの化学形に及ぼすpHの影響」については,UPLC-MS/MSに基づくESHとESSEの定量的評価をおこなう。
「③プロトンプールとしてのエルゴチオネインの化学形とpH調整機能」については,ニジマス筋肉成分のメタボローム解析を継続し,ESH給与が筋肉における成分代謝に及ぼう影響を定量的に評価する。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は山梨県の大泉フィ-ルドセンターにおける飼育試験を実施したが,コロナ禍の影響で出張旅費および飼育期間の設定を精度よく見積もることが困難となったため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Nord University(ノルウェー)

    • 国名
      ノルウェー
    • 外国機関名
      Nord University
  • [国際共同研究] University of the Philippines, Visayas(フィリピン)

    • 国名
      フィリピン
    • 外国機関名
      University of the Philippines, Visayas
  • [学会発表] The putative ergothioneine transporter of Salmonidae: Gene expression and development of universal primer across certain trout and salmon species2021

    • 著者名/発表者名
      〇Lalitphan Kitsanayanyong, Yuki Ishikawa, Tomoyuki Koyama, Reiko Nagasaka, Toshiaki Ohshima
    • 学会等名
      The Japanese Society of Fisheries Science

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公開日: 2021-12-27  

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