研究課題/領域番号 |
19K06235
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
大島 敏明 東京海洋大学, 学術研究院, 名誉教授 (70134856)
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研究分担者 |
石川 雄樹 東京海洋大学, 学術研究院, 博士研究員 (50638004) [辞退]
長阪 玲子 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (90444132)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エルゴチオネイン / ニジマス / 筋肉 / pH / 死後硬直 / 酸化型二量体 |
研究実績の概要 |
エルゴチオネイン(ESE)の純品を給餌することでニジマス死後硬直への影響を検証した.さらに供試魚筋肉中ESHおよびその酸化型二量体(ESSE)をUPLC-MS/MSを用いてMRM分析を行い定量した.供試魚を下記の各区50尾ずつの3区に分け,3種類の異なる飼料を給餌した.すなわち,対照区:7%(w/w)の純水を含浸した魚体重の1%重量の基本飼料.キノコ区:7%(w/w)のタモギタケ抽出液を含浸した魚体重の1%の基本飼料.SH区:7%(w/w)のESH水溶液を含浸した魚体重の1%の基本飼料. 即殺後5時間以降から硬直指数の上昇が確認され,即殺後9時間目以降で対照区と比較してキノコ区とESH区では硬直指数が低い傾向を示したことからタモギタケ抽出液添加飼料およびESH水溶液添加飼料により死後硬直が抑制されたと考えられる.一方,硬直指数について対照区と比較してESH区では有意差(P < 0.05)がなかったがキノコ区では即殺後1から2時間および9から12時間において有意差がありキノコ区においてESH区よりも死後硬直が抑制されたと考えられる.加えて筋肉中ESH含量は対照区と比較してキノコ区とESH区ともに高い傾向であるが,キノコ区とESH区間に差はないと考えられる.これらより給餌したESHを含む飼料を介してESHを組織に蓄積し死後硬直の遅延に関与するが,タモギタケ抽出液区ではESHに加えてタモギタケ抽出液に含まれるESHの他の成分が関与したためにESH区より死後硬直が遅延した可能性があると考えた.一方,ESHを給餌したニジマスの筋肉からはESSEを検出できなかった.低pHの人工実験条件下でのみESSEの生成を観察したが,生理的pHに調製した緩衝液中ではESSEは形成されなかった(Ey, 2007)との報告と同様にニジマス筋肉のpHでは安定ではなかったと考えられる.ESHが酸化されESSEが生成したとしても安定でなく分解したために検出できなかったものと推測される.
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