本研究は、幸福度研究や行動経済学の研究成果を食に関する研究に応用することで、食が我々に与える幸福度について多面的に明らかにすることをねらいとしていた。理論的な分析により以下のことが明らかにできたが、現実のデータによる実証分析には至らなかった。 ①食の短期的幸福度と長期的幸福度を統一的に議論するには、現在の食事が将来の健康状態に及ぼす影響についての知識が必要となる。②時間選好率が大きいグループでは、高カロリーなど短期的幸福度に偏った食料消費パターンとなる。③市場動向が無糖系の飲料需要が高まっている日本では、諸外国のようないわゆるソーダ税などによる政策的な食料消費の誘導という制度設計はなじまない。
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