水分屈性の発現は、重力屈性の発現に干渉されるが、その程度は植物種により異なる。すなわち、エンドウ、キュウリなどの大きな植物では、水分屈性に比べて重力屈性が強く発現するが、シロイヌナズナ、ミヤコグサ、イネなどの小さな植物では、重力屈性に比べて水分屈性が強く発現する。しかしながら、異なる植物種間の比較からでは、水分屈性と重力屈性の相互作用を担う遺伝子の特定が困難であった。本研究により、シロイヌナズナの自然変異体間でも、重力屈性による水分屈性の発現抑制の程度は多様であることが明らかとなり、今後、本知見に注目した研究により、水分屈性と重力屈性の相互作用の差異が生じる分子機構が明らかになると期待される。
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