研究課題/領域番号 |
19K06337
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
戸敷 浩介 宮崎大学, 地域資源創成学部, 准教授 (00542424)
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研究分担者 |
長命 洋佑 九州大学, 農学研究院, 助教 (10635965)
内藤 博敬 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (30254262)
劉 庭秀 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70323087)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 重金属汚染 / 遊牧 / 乳製品 / モンゴル国 / 簡易調査手法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,開発途上国の畜産食品の重金属汚染を早期に発見するための調査手法を確立することである。具体的には,モンゴル国の遊牧業で生産される乳及び乳製品の鉛汚染を事例として,その原因と汚染の広がり,住民への影響を把握するための簡易調査手法を確立することを目標とした。 これまでの報告者らの研究では,モンゴル国の首都ウランバートル市郊外にある鉛精錬工場の周辺で,土壌や家畜の血液中の鉛濃度が高かった。そこで,本研究の一年目の調査では,8月にこの工場周辺の遊牧民,および周囲に工場がない地域の遊牧民が作った乳製品をそれぞれ150グラム以上を収集した。収集した乳製品サンプル150グラムをるつぼに入れて蓋をして,現地の協力機関のマッフル炉を用いて400℃で6時間の乾式灰化処理を行った。生乳については,今年は収集・測定を行っていない。 また,町の市場に流通している乳製品の種類や産地,流通ルートについて聞き取り調査を行い,次年度以降の本格調査に向けて予備調査を行った。しかし,聞き取り調査では市場に流通している乳製品の生産地域を正確に把握することは難しかった。モンゴル国では,環境や衛生への関心が徐々に高まっている。このため,食品の生産地について聞かれた際に,汚染等の問題(もしくは噂程度でも)がある地域である場合は,明言しないか,もしくは異なる地域を答えている可能性が排除できない。従って,市場調査による生産地の把握は困難だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は,モンゴル国における現地調査の期間を長く取れなかったことと,郊外に出る道路の改修工事,天候不順のため,現地調査期間中のサンプル収集が予定通りの数まで達しなかった。また,市場における聞き取り調査でも,想定通りには進まないと判明した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,モンゴル国における現地調査が必須である。しかし,現時点でモンゴル国への渡航が可能かは不明である。4月30日以降は,PCR検査によって陰性と判定された者のみ入国可能となっているが,モンゴル国への入国を理由に日本国内でPCR検査を受けることが現状では不可能である。 また,新型コロナウィルス感染症対策のため,研究代表者および分担者の所属大学の講義開始が遅れたため,夏季も講義を行うことになっている。従って,現時点ではモンゴル国への渡航時期を予定できない。 そこで今年度は,モンゴル国の遊牧民が作る乳製品を日本で作り,有害重金属(特に鉛)含有乳製品の標準物質を作成して,簡易分析器による測定方法を検討することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度は,現地調査の期間が長く取れず,また共同研究者も予定が合わずに渡航できなかったため,現地調査のための旅費,現地調査で使用するための消耗品等の購入,現地調査時の通訳や交通費等が,想定より大きく下回った。 令和二年度も,新型コロナウイルス感染症の影響で,渡航については確定することができていない。従って,国内で標準物質を作成し,重金属濃度を測定するための費用として使用する。また,渡航が可能になった際には,長期間滞在ではなく数回の短期間滞在いよる調査を検討している。
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