研究課題
最終年度となる今年度は、組織マイクロアレイ(TMA)を用いた線維芽細胞増殖因子受容体(Fibroblast growth factor receptors:FGFR )1-4抗体による免疫組織化学染色について、これまで蓄積してきた症例について解析をおこなった。正常乳腺組織では構成する2つの上皮細胞のうちおもに腺上皮細胞での発現が認められ、一部の筋上皮細胞においても発現が確認された。乳腺腫瘍における発現では、同様におもに腺上皮細胞由来腫瘍細胞での発現が認められた。今回の検索範囲では腫瘍の病理診断分類による悪性度と染色性について、明らかな関係は確認できず用いる抗体の選別も含めての検討がさらに必要であると考えられた。また、real-time RT-PCRによるイヌFGFR 1-4に対するTaqman Probeを用いたイヌ乳腺腫瘍およびその転移巣における発現と、同組織のホルマリン固定パラフィン包埋組織におけるFGFR 1-4抗体による免疫組織化学染色による発現を比較解析した。両者の解析方法ともに発現は確認できたが、その増減は一致しておらず、抗体の影響に加え、イヌの乳腺腫瘍の構成成分が多彩であることが影響していると考えられた。この差を埋めるためには乳腺腫瘍と正常乳腺の凍結包埋組織を用いた解析が必要となるため、今後の研究材料として継続してさらに症例の集積を進める。今回の研究期間において、FGFR 1-4に対するTaqman ProbeによるRNA発現解析の有効性と、細胞株よりも乳腺腫瘍での高い発現が確認できたことから、周囲組織も含めた生体内で使用される分子標的マーカーとしての可能性が確認できたと考えている。
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