研究課題
基盤研究(C)
マダニ媒介性原虫のバベシアはマダニ体内で卵巣などの様々な臓器に伝播するが、その伝播メカニズムは不明である。本研究では、マダニの吸血完了(飽血)後~産卵開始前において、体液中に存在する卵黄タンパク質前駆体(ビテロジェニン;Vg)、卵母細胞表面のVg受容体(VgR)などのマダニ卵形成関連分子とバベシアがどのように相互作用するのかを検証した。その結果、未成熟卵母細胞の割合が多い飽血後1日目の体液中に原虫が多く存在すること、バベシアの卵母細胞への伝播にはVg-2が必須であることが明らかになった。
獣医寄生虫学・獣医衛生動物学(特にマダニ)
本研究では、バベシア感染マダニモデルを用い、マダニの卵母細胞成熟過程におけるバベシア感染の時系列ならびにバベシア-卵形成関連分子間相互作用の一端を明らかにした。これまで抗マダニワクチン候補分子として注目されることが極めて少なかった卵形成関連分子を解析対象とし、バベシア原虫介卵伝播における卵黄タンパク質前駆体(Vg-2)の重要性を見出した本研究成果は、将来の原虫伝播阻止ワクチンの開発研究へと発展させるための有用な基礎的知見である。