発生過程において造血幹細胞は血管との共通前駆細胞である血管芽細胞より形成されるが、その運命決定に関する詳しい分子機構には不明な点が多かった。本研究ではゼブラフィッシュを用いて血管芽細胞におけるインテグリンシグナル伝達経路の役割を調べ、造血幹細胞の形成に不可欠な分子としてsmall GTPaseの一種であるRhoHを見出した。さらにRhoHはZap70を抑制することで造血幹細胞の形成を促進するという新たな分子機構を明らかにした。本研究で明らかにしたインテグリン-RhoHに関するシグナル伝達機構は造血幹細胞の形成に極めて重要な役割を果たしている可能性が高いと考えられた。
|