研究課題/領域番号 |
19K06453
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笠井 憲雪 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (60001947)
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研究分担者 |
打越 綾子 成城大学, 法学部, 教授 (40349163)
越本 知大 宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 教授 (70295210)
加隈 良枝 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (00399007)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 動物実験倫理 / 動物福祉 / 動物実験情報発信 / 意識調査 / 高校生物教育 / 動物の致死処置 |
研究実績の概要 |
1、一般市民の動物実験に関する意識調査の継続基盤確立:第2回意識調査は計画通り実施した。現在、結果 について論文が完成次第公表する。 2、高校生物教育の動物使用学習の適切な支援法の提言と支援組織の構築:北海道と東京の高校生物担当教師と懇談し、また全国高校生物担当教師へのアンケート調査をおこない、教師の高校教育における動物の取り扱いに関する意識及び実施法について明らかにしたので、現在報告書を作成中である。また、札幌日本大学高校授業「動物倫理と福祉を考える講演会」において、「動物を研究・実験に使用するときの倫理」のタイトルで2年生に講演を行い、活発な質疑応答を行なった。 3、動物実験情報発信基盤の構築:この研究の情報発信手段として「実験動物福祉コミュニケーション」ホームページを作成し、研究で得られた動物実験倫理の情報を掲載し、一般市民へ発信している。今後とも活用する。 4、動物実験に関する情報発信における倫理に関する研究:日本人は動物の安楽死を含む致死処置を回避する傾向が強いと言われている。そこで実験動物を含む各種動物の人による致死処置の許容度や考え方を把握するために意識調査を行なった(動物の命に関する市民意識調査)。3311名を対象とした。結果:動物が怪我や疾病の終末期で強い苦痛がある場合(65%許容)、野生動物が人に重大な危害を与えた場合(58%許容)、動物が人に病気を感染させる場合(63%許容)、動物同士の感染拡大の恐れがある場合(63%許容)など、予想よりも多くの日本人が人為的な致死処置を許容するとした。一方、多頭飼育に陥った場合(26%許容)や動物治療で労力や高額費用がかかる場合(28%許容)などは低い許容率であった。日本人の動物の致死処置への態度は、性別、年代、動物との関係性、専門性により異なり、また動物種そのものよりも様々な状況・理由・影響により異なることが示された。
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