研究課題/領域番号 |
19K06482
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
嶋田 美穂 横浜市立大学, 医学研究科, 特任講師 (50383287)
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研究期間 (年度) |
2019-03-01 – 2022-03-31
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キーワード | クロマチン構造変換 / CTCF結合 / インシュレーター / TAD形成 / 遺伝子発現 |
研究実績の概要 |
遺伝子発現に伴って起こるヘテロクロマチンからユークロマチンへのクロマチン構造変換はエンハンサーを起点として両端に波及して行き、CTCF結合サイトで停止することが分かった。このことより、クロマチン構造変換がTAD単位で起こっている可能性が高い。そのため、CTCFが結合しているインシュレーターとの関わり、更にはインスレーター間で形成されるTADとの関連性を調べた。 まず、インシュレーターとの関わりを調べるために、血球細胞697を用いてCTCFをshRNAによりノックダウンした。その結果、CTCF結合サイトで停止するはずのクロマチン構造変換が隣の遺伝子座まで続き、隣の誘導型の発現形式を持つ遺伝子座の遺伝子発現が活性化された。つまり、ゲノム上のCTCF結合がクロマチン構造変換の起こる領域を制御していることが分かった。 更に、インシュレーターとの関わりを調べるために、ターゲット遺伝子座の両側にあるCTCF結合サイトをCRISPR/Cas9法で取り除き、インシュレーターを壊した細胞株を作成した。各変異株は、シーケンスにより変異を確認し、クローン化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
8月から11月まで出産のため休職していた為、実質的に研究をする期間が短かった。また、仕事復帰後も継続して研究することが難しかったため。
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今後の研究の推進方策 |
CTCFの結合サイトの変異株のクローン化に成功した為、今後はこの細胞株を用いてクロマチン構造変換とインシュレーターとの関連性を研究する。血球分化過程での遺伝子発現に伴うクロマチン構造変換を野生株と変異株間で比較する為に、分化誘導前後でクロマチン構造とその変換の波及領域の違いを解析する。解析方法としては、ヘテロクロマチンに結合しているリンカーヒストンをターゲットとしたChIP-seqを行い、クロマチン構造変換が起こる領域を同定する。それにHi-Cを加えることで、TADとの関連性も検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は産休により研究を離れる期間があった為。
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