研究課題
本年度は、今までのin vitro系で得てきたクロマチン構造変化が実際に細胞内でどのように起こるのか、in vivo系を用いて検証した。実験系としてウィルスHPVが細胞内に入り込んでいる細胞を用いた。HPVはランダムにヒトゲノムに組み込まれ、組む込み領域の周辺のクロマチン構造を変化させると考えられている(Hatano T et al., 2017)。このエピジェネティックな変化により異常な遺伝子発現を引き起こす。まずは、HPV16に感染した細胞よりゲノムDNAを抽出し、ウィルスDNAの組み込み領域をNGSを使用して同定した。この組み込み部位の解析方法は、Hatanoらのグループの方法を参考に行った。HPV配列を含むフラグメントの同定は、ヒトとHPVそれぞれの配列にマッピングした。数種類の細胞で同様の解析を行ったが、予想通りにHPVが入り込んでいる領域はランダムであり、特定のホットスポットは見つからなかった。ただ、ほとんどの挿入部位は、遺伝子コーディング領域ではなく、遺伝子の上流の制御領域であった。このことからも、HPVが挿入されることで、その下流遺伝子や周辺遺伝子の発現に影響を与えている可能性は高いと考えている。現在、同定した組み込み領域周辺の遺伝子やその発現、エピジェネティックな変化を解析中である。ここで観察されたエピジェネティックな変化が及んでいる範囲がクロマチンユニットと呼ばれるクロマチン構造により区切られている領域内に収まっているのか確認することが重要だと考える。
2: おおむね順調に進展している
多少の遅れはあるものの、in vitro系での実験は終了し、in vivoを中心とした検証に入ることができている
in vivoでの解析を引き続き行う予定である。また、最終年度ということで、論文としてまとめていきたい。
昨年度はin vivoの立ち上げを主に行っており、本年度が本格的な解析となる。そのため、本年度の解析費として残しておいてある。本年度はin vivoの解析のためのNGS解析代に使用予定
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件)
American Journal of Reproductive Immunology
巻: 91 ページ: .
10.1111/aji.13832
日本受精着床学会雑誌
巻: 41 ページ: .
Human Reproduction
巻: 38 ページ: .
10.1093/humrep/dead093.490