近年、逆向きの3’-5’方向へ塩基伸長する酵素Thg1が発見され注目を浴びている。しかし、Thg1に現存する逆方向の塩基伸長活性の生物学的意義の解明には至っていない。 本研究ではヒトThg1の異なる鋳型塩基に対する塩基付加活性測定から、ヒトThg1には2種類の塩基認識機構が存在することを明らかにした。この内、ヒトThg1が生成するU:A塩基対を含むtRNAは乳がん細胞等でpiRNAとして機能することが報告されており、逆方向の塩基伸長活性の新たな生体内機能を提唱した。また、ミトコンドリアtRNAとの複合体構造から、C末端ドメインとtRNAの結合が塩基認識にも関与することが示唆された。
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