形態形成という発生イベントは遺伝的プログラムによって進行するが、環境要因も関与することが知られている。本研究では、哺乳類胚を取り巻く低酸環境が大脳発生の遺伝的プログラムを修飾し、大脳発生を制御する可能性を検討した。本研究の成果により、子宮内の低酸素環境が撹乱されることで、仔の抑制性神経の数が変化する可能性が示唆された。てんかんや自閉症スペクトラム症は抑制性神経の数が変化することで発症することが示されている。このことから、本研究成果は精神疾患の発症機構の解明や治療法の開発につながる可能性が示唆された。
|