研究課題
基盤研究(C)
アブラナ科植物には、花粉側自家不和合性を決定するSP11遺伝子において階層的な優劣性が保存されている。SP11の優劣性を制御する分子機構の種間における共通性と相違性の解明を目的とした。本研究では、アブラナ科植物である在来ナタネとセイヨウミヤマハタザオについて優劣性制御の分子機構を明らかにし、その比較をおこなった。この二種では相同性依存的機構が共通するが、標的配列には種特異的な機能分化が見られることを明らかにした。
植物分子遺伝学
学術的意義としては、遺伝学の謎であるdominance modifierの進化に迫る点が挙げられる。本研究はdominance modifierの作用により遺伝子の優劣が決定される機構の解明を目的としており、種間における優劣性機構の比較解析から、dominance modifierの進化および出現時期を得ることができる。社会的意義としては、自家不和合性の操作を含む点が挙げられる。アブラナ科植物の育種において自家不和合性の操作は重要課題であり、本研究成果は新品種創出や親株の維持に貢献できる。