研究課題
基盤研究(C)
菌類の種同定に関する2つの前提、すなわち、ブナ類を中心とした同属の木本植物に寄生する、ある属の菌種は同一種 (普遍種) であるという考え (前提1) と、日本産タケ類寄生菌は独自の種 (固有種) で構成されているという考え (前提2) について形態比較と分子系統解析により検証した。前提1は概ね否定され、前提2は概ね肯定される結果となった。本研究により得られた菌類の分類学的検討を進め、1新目・10新種(8新組合せを含む)の菌を命名・記載し、日本産菌類の多様性の一端について明らかにした。
菌学
日本産菌類の種に関する「普遍性」と「固有性」という対照的な特徴について、形態学的・分子系統学的に検証した。結果として日本の菌類相は従来考えられていたよりも、より多様な種により構成されていることを明らかにした。菌類の種同定に関連した従前の前提を見直すことで、菌類における種の考え方を根本的に変えていくきっかけになることが期待できる。本研究課題を進めるなかで約400株以上の純粋培養株を新たに取得した。これらを微生物遺伝資源として系統保存するとともに、有用代謝産物の探査源として整備・利用した。