異質倍数体種が新規に確立するためには、親種との競争を避けるため、ニッチ分化が必要だという説がある。しかし、この異質倍数体種分化の生態学的側面については、いまだ決着がついていない。本研究では、事例を集積し一般化を進めるために、日本列島内で起源した可能性が高い「日本産異質4倍体シダ植物種の中で、その祖先二倍体種が共に日本列島に現存する」事例の発見に努めた。その結果、5例を新規に発見した。両親種が大きくニッチ分化しているノキシノブ属のクロノキシノブとイシガキウラボシの事例についてはニッチ解析を行い、最終氷期最大期(約2.1万年前)には近接して分布しており、現在より交雑の機会が大きかったと推定した。
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