研究課題/領域番号 |
19K06847
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 千葉県立中央博物館 |
研究代表者 |
川瀬 裕司 千葉県立中央博物館, 分館海の博物館, 主任上席研究員 (10270620)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 繁殖生態 / 産卵行動 / 営巣 / 卵保護 / ハゼ科魚類 / 形成アルゴリズム / シミュレーション / バイオミメティクス |
研究成果の概要 |
サキンハゼは砂泥底に生息し,沖縄本島では周年繁殖していることが確認された。本種は産卵基盤として二枚貝の貝殻などを使用し,その周りに放射状の溝を形成した。雄は巣を訪れる複数の雌と繁殖することから,本種の配偶システムはなわばり訪問型複婚であると考えられた。産卵後は雄が単独で卵保護を行い,侵入者に砂を飛ばして撃退したり,卵に砂をかけて捕食者から隠蔽するなどの行動が観察された。営巣開始時には,雄は基盤の縁から外側へ向かう溝掘りと,溝掘りにより基盤に溜まった砂の掃き出しを繰り返した。その結果,基盤の周りの砂が次第に盛り上がり,基盤を海底に安定させる効果があると考えられた。
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自由記述の分野 |
魚類生態学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の発端となったアマミホシゾラフグがつくる「ミステリーサークル」は真円に近いのに対して,サキンハゼではいびつな楕円となっていた。フグでは3つの単純なルールのもとで掘削行動を繰り返すと,必然的に放射状構造が形成されることがコンピュータシミュレーションで明らかにされている。これに対して,ハゼでは産卵基盤の縁から外側へ向かって溝を掘り進めること,溝の長さにばらつきがあることから,溝の先端を繋いだ形状は基盤の形状に依存するとともに凹凸が生じていた。すなわち,フグとハゼの巣は放射状に並ぶ溝に囲まれている点では共通しているが,形成アルゴリズムの差異が全体の形状に大きな影響を与えていた。
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