グルココルチコイド受容体(GR)を扁桃体外側核(LA)選択的に欠損させた(LAGRKO)マウスでは、音依存性の遠隔恐怖記憶が有意に増強される。遠隔恐怖記憶の制御に関わる内側前頭前野(mPFC)ならびに聴覚皮質(AC)の記憶痕跡細胞の動態を検討したところ、LAGRKOマウスのmPFCでは遠隔恐怖記憶の想起に関わる記憶痕跡細胞が恐怖条件付け時に多く形成され、ACでは逆に少なく形成されることが明らかとなった。これらの結果から、mPFCとACにおける記憶痕跡細胞の形成と変遷過程の異常が過剰な遠隔恐怖記憶の原因となる可能性が示唆された。
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