研究課題
基盤研究(C)
興奮性シナプスの構造・機能を制御するシナプス接着分子LRFN2は、ノックアウトマウスにおいてヒト自閉症様・統合失調症様の行動異常とシナプス異常が認められている。本研究課題では、霊長類脳における発達障害発症メカニズムを検証するために、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術によるLRFN2ノックアウトカニクイザルの作製に着手した。また、正常カニクイザルの発達脳における構造や軸索走行について明らかにするため、核磁気共鳴画像(MRI)解析および拡散テンソル画像(DTI)解析を行った。
神経科学
自閉症や統合失調症などの発達障害とシナプス接着分子の関連性を示す研究報告の蓄積から、近年、シナプス異常と発達障害の因果関係が支持されている。マウス(齧歯類)を用いた研究から多くの発見が見出されている一方で、ヒト(霊長類)との脳構造や機能における進化的な差が大きいために治療法に結びかない現状がある。興奮生シナプスの制御に関わり、かつ自閉症や統合失調症の患者に変異が認められているLRFN2遺伝子欠損非ヒト霊長類サルが作出されることにより、基礎知見と臨床応用を結ぶ橋渡しができるものと期待される。