成体脳では神経幹細胞が存在しないと考えられていたが、20年前に海馬や側脳室下帯においてその存在が証明された。神経幹細胞は、脳部位に固有の機能維持に必要なだけでなく、その増殖抑制は脳疾病発症の原因であることも明らかになった。さらに、神経幹細胞は脳損傷時に損傷部位へ新しい神経やグリア細胞を供給する働きもある。本研究では延髄において、神経幹細胞が存在することを明らかにした。さらに、延髄における神経幹細胞の基礎的機能を解明した。また、細胞の増殖が摂食、運動、コルチコイドやレプチン処理などの刺激により変化すること、並びに延髄出血により神経幹細胞の増殖が促進されることを明らかにした。
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