研究課題
基盤研究(C)
活動した神経細胞を特異的に蛍光タンパク質で標識する方法や、脳を透明にしてその蛍光を観察しやすくする方法を用いることで、快感や不快感と深く関連のある活動を示す神経細胞を、マウスの脳全域に亘って単細胞レベルの解像度で同定した。また、注射した化合物やLEDライトから出る光によって活動させる技術を用いてそれら細胞を人為的に活動させると、マウスにおける快感や不快感の指標となる行動の一部が誘導されることが明らかになった。
神経科学
本研究の成果は、一般に「心脳問題」や「意識のハードプロブレム」として知られている、「意識経験と神経機構の関係性の問題」の解明に寄与する可能性がある。また、快・不快の情動的意識経験(快・不快経験)は、近年増加傾向にある統合失調症やうつ病、麻薬中毒などの様々な精神疾患において異常を呈していることが知られている。本研究の成果は、それら意識経験の異常に対する治療法の開発に貢献できる可能性がある。