神経細胞間の情報伝達の変化は、記憶や学習のしくみの一つと考えられている。本研究は線虫の味覚学習をモデルとして、感覚受容を担う味覚神経と、その情報を処理する介在神経との間の情報伝達が経験に依存して変化する機構を遺伝子レベルで明らかにした。また、線虫の学習に必要な新規遺伝子として、神経や筋の興奮性を調節する塩化物イオンチャネルを同定し、それが行動の制御に果たす役割を明らかにした。これらの遺伝子はヒトを含む多くの動物種で保存されている。本研究で明らかになった神経伝達調節機構や遺伝子の機能は、記憶と学習のしくみをより深く理解することに貢献した。
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