研究課題
基盤研究(C)
求核的なホウ素中心ラジカル(ボリルラジカル)の反応性を利用して、以下の新しい分子変換反応を開発した。(1)β-ボリルアルケニルラジカルの不活性カルボニル基への反応、(2)ボリルラジカルとポリフルオロアレーンの反応、(3)歪んだベンゾボレピン誘導体の合成と転位反応、(4)1,3-ジイン誘導体のトランス選択的ヒドロホウ素化反応。これらの反応は、ホウ素原子によってもたらされたラジカル中間体の特異な立体電子効果および極性効果が発揮された結果、達成された。
有機合成化学
ホウ素含有ラジカルの立体電子効果や極性効果をうまく利用すれば、高反応性活性種であるラジカルの反応性をさらに向上させることができるだけでなく、特異な選択性を発現させることが可能であることを実証した点が、学術的に価値が高いと考えられる。ホウ素を含む化合物はさまざまな機能を示すことが知られており、実用的な機能性材料や医薬品の有力な候補となる。したがって、本研究成果は有機ホウ素化合物の新たな合成法を提供する点で社会的意義は高いと考えられる。