研究課題
基盤研究(C)
極長鎖脂質(20よりも長い炭素鎖をもつ脂質)は体表の透過性バリア形成に重要である。本研究は体表よりも広い表面積をもち,外界と接する消化管のバリア形成における極長鎖脂質の役割の解明を目的として行った。マウス消化管の脂質を質量分析法によって解析した結果,皮膚バリア形成に関わる極長鎖セラミドが口腔,食道,前胃に存在することを明らかにした。また,この極長鎖セラミドを減少させたマウスでは口腔バリア機能が低下していることを明らかにした。
脂質生物学
消化管は食事、喫煙、薬物などに由来する質・量共に多様な化学物質および体表とは異なる病原体や常在細菌に晒されている。本研究では表皮にのみ存在すると考えられていたタイプの極長鎖セラミドが表皮と同じ重層扁平上皮組織である口腔、食道、前胃に存在し、口腔バリア形成に重要であることを明らかにした。極長鎖セラミドは口腔バリア疾患と関連する可能性があり、診断や治療におけるターゲットとなりうることが示唆された。