研究課題/領域番号 |
19K07065
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山本 融 香川大学, 医学部, 教授 (10251480)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | E/Iバランス / MDGA1 / MDGA2 / 自閉スペクトラム症 / 統合失調症 / 精神神経疾患 |
研究実績の概要 |
精神神経疾患は誰もが罹患しうるコモンディジーズであり、その克服は重要な課題である。その分子病態の背景として神経への興奮性入力と抑制性入力のバランス(E/Iバランス)偏移が注目され、興奮性・抑制性両シナプス形成に中心的な役割を担っているニューレキシン-ニューロリギン系の解析が精力的におこなわれている。我々は、GPIアンカー型膜タンパク質MDGA1・MDGA2がニューレキシン-ニューロリギン相互作用をニューロリギンに対する直接結合により負に制御していること、そして、その欠失・発現低下により、E/Iバランスがそれぞれ抑制側・興奮側に偏移することを明らかにし、報告している。本研究ではこうしたMDGAファミリー分子群によるE/Iバランス制御能に着目し、MDGAの欠失により各種精神神経疾患に通底する分子病態であるE/Iバランスを偏移させた場合、どのような認知・行動異常が現れるかを解析し、高次脳機能統御におけるE/Iバランス制御の意義を明らかにするとともに、こうした異常を改善する薬剤の探索による精神神経疾患創薬シーズの獲得を目的としている。本年度は、MDGA1欠失マウスの解析を進め、その結果、統合失調症患者に頻見される感覚ゲーティング機構とともに、モノアミン系の一部に異常が認められることを明らかにした。また、昨年度、MDGA1欠失マウスにおいて認められる行動異常を改善しうる適応外既存薬を見出したが、その作用機序について解析を進めた結果、当該薬剤によってE/Iバランス偏移が修正され、これによって神経回路網の応答が正常化し、行動異常の改善がもたらされていたことを明らかにした。これにより、E/Iバランス偏移に起因する精神神経疾患の少なくとも一部が当該薬剤により改善されうることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MDGA1欠失マウスにおいて、その統合失調症様行動異常と、その発現機序の一端を、その改善が期待できる候補薬の作用機序とともに明らかにできたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに探索されたMDGA1・MDGA2欠失マウスにおいて認められる自閉スペクトラム症様・統合失調症様の表現形を改善する薬剤の作用機序の解析を進める。また、MDGA-ニューロリギン相互作用定量系を用いて、これを修飾しうる物質の開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス交配の不調により一部の実験の延引を余儀なくされたため。
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