本研究では、血管平滑筋に発現するTRPC6チャネルが成体における血管成熟の負の制御因子であることを明らかにした。TRPC6を抑制した血管平滑筋細胞およびマウス個体の解析から、TRPC6の抑制が、どのような分子・細胞機構により血管成熟を促進させうるかが明らかになった。本研究における特に重要な発見が、TRPC6の抑制により、血管平滑筋の分化を促進すると内皮障害のレベルも軽減されることである。すなわち、血管平滑筋の表現型の正常化こそが血管の恒常性維持に重要であることが示された。TRPC6は明らかにそこに関与する重要な分子の一つであり、虚血性疾患の予後改善などに有効な創薬標的であることを明らかにした。
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