研究課題/領域番号 |
19K07132
|
研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
喜多 紗斗美 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (10461500)
|
研究分担者 |
太田 紘也 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (40638988)
喜多 知 福岡大学, 医学部, 助教 (50797107)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | Ca輸送制御 / 血管再構築 |
研究実績の概要 |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)、末梢循環障害などの血管病の発症には、血管内皮細胞の障害・増殖および血管平滑筋細胞の増殖・収縮に基づく血管機能異常(血管過収縮)や血管リモデリング(血管再構築)が深く関与している。近年、血管病の病態形成機序や治療標的として、「病的・治療的血管再構築」が注目されている。血管内皮細胞と血管平滑筋細胞の機能異常には、Caハンドリング異常が関わると考えられているが、その詳細な分子機序は未だ不明である。申請者は最近、Na/Ca交換輸送体の全身欠損マウスにおいて、低酸素誘発性肺高血圧症が発症しにくいことを見出した。本研究では、Na/Ca交換輸送体が低酸素誘発性肺高血圧症の発症に関わる機序として、血管内皮細胞・血管平滑筋細胞の機能異常(血管過収縮、血管リモデリング)に関与する可能性を調べる目的で、血管内皮・血管平滑筋特異的Na/Ca交換輸送体遺伝子改変マウスを駆使して、病的・治療的血管再構築に関わるCa輸送体を特定し、それを標的とした新規血管病治療戦略の提案を目指す。令和元年度は、Na/Ca交換輸送体の血管平滑筋特異的遺伝子改変マウスを用いてin vitro血管新生実験を行い、Na/Ca交換輸送体が血管新生に関与することを示す結果を得た。現在、病的あるいは治療的血管再構築にNa/Ca交換輸送体が関与する可能性について、in vivo血管新生モデルを作製して解析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、Na/Ca交換輸送体の血管内皮・血管平滑筋特異的遺伝子改変マウスを作製し、下肢虚血モデルの作製や大動脈および肺動脈初代培養細胞を用いた血管新生の実験を行う予定にしていた。これまでに大動脈および肺動脈初代培養細胞を用いた実験を行っており、in vivo実験についても検討中である。
|
今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、現在進行中の実験を継続するとともに、た遺伝子改変マウスおよび野生型マウスの初代培養血管内皮細胞および血管平滑筋細胞を用い、遊走・増殖・過酸化酸素誘導アポトーシス、ECMゲルのin vitro血管形成実験などを行う。さらに、ミトコンドリア・小胞体・細胞質に局在する蛍光Caセンサーを遺伝子導入したレポーターマウスより、培養血管内皮細胞・培養血管平滑筋細胞・摘出灌流肺動脈標本を調整し、各種刺激薬・低酸素処理・機械刺激・酸化ストレス負荷によるミトコンドリア-小胞体-細胞質間の動的Caシグナルを蛍光イメージング解析する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
低酸素用ガス混合装置(1,160,000円)を購入予定であったが、Ca測定用のレーザーの不調によりCSU10用固体レーザー(864,000円)を購入した。また、参加予定の学会が紙上開催や中止になったため、旅費への使用がなかったため。
|