研究課題/領域番号 |
19K07237
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
飯原 なおみ 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (40412390)
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研究分担者 |
佐藤 嗣道 東京理科大学, 薬学部薬学科, 准教授 (50305950)
吉田 知司 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (80220656)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脂質異常症 / スタチン / 継続 / アドヒアランス / 性差 |
研究実績の概要 |
脂質異常症治療薬の一つであるスタチンは、骨吸収抑制と骨形成促進の両作用を有し、骨折の発症を抑制すると報告されている。しかし相反する報告もあり、スタチンの骨折発症抑制に関する臨床研究の結果は一貫していない。スタチンの心血管疾患発症予防効果は、スタチンの強度やアドヒアランスなどのスタチン使用状況に影響されることが知られており、骨折への効果に対しても、スタチン使用状況の影響を受ける可能性がある。 日本人のスタチン使用状況を把握するため、今年度はスタチン使用状況(継続率及び服薬アドヒアランスなど)を、2014年度から2017年度に日本でスタチンを55歳以上で開始した者全て(約350万人)、及び、心血管疾患1次予防者、2次予防者別に解析した。継続・中止はギャップ法を用い、継続率はカプランマイヤー法を用いて死亡を打ち切りとした。服薬アドヒアランスはProportion of Days Coveredで算出し、0.8未満をアドヒアランス不良とした。 スタチン継続率は開始後早々に低下した。許容ギャップを個人のスタチン処方日数の中央値とした場合のスタチン継続率は、1年時点で0.61、3年時点で0.45であった(対象者全て)。スタチン継続期間中のアドヒアランス不良者の割合はわずか8.0%であり(対象者全て)、年齢増加に伴い減少した。スタチン継続率及びアドヒアランスは、2次予防者に比べて、1次予防者で低かった。顕著な性差(女性で低い継続率・低いアドヒアランス)が、2次予防者で認められたが、1次予防者では認められなかった。 スタチン新規使用者の多くは、開始後早々にスタチンを中止したが、継続中のアドヒアランスは高かった。スタチン中止の理由を傾聴し、治療早期からの離脱がないよう注意する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で全体的に当初計画より遅れており、補助事業期間を延長した。しかし解析は着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
スケジュール管理を徹底させて研究を推進させる。日本における脂質異常症治療薬の使用状況の解析は終えており、この結果をもとに骨折との関連性解析を進める。
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