宇宙空間では,筋・骨萎縮,心循環系の調節力低下,前庭機能低下などが起こることから,前庭系可塑のメカニズムを解明することで,高齢者に起こる様々な疾患の治療法を見つけることができる可能性がある。最近では,前庭系の可塑が平衡感覚機能不全や心循環器系の調節低下だけではなく,筋・骨代謝の低下や免疫不全にも関与していることが明らかになり始めてきた。このことから,前庭系の可塑メカニズム解明は多くの疾患の理解につながる可能性がある。さらに,前庭系電気刺激法で可塑の制御法を確立することができれば,宇宙飛行士だけではなく高齢者にみられる疾患や機能不全の治療にもつながることが期待される。
|