痒みはアトピー性皮膚炎の主要な症状であり、患者を最も苦しめる要因となる。アトピー性皮膚炎では、アルコール摂取や睡眠時に痒みが増強することから何らかの中枢神経系の機能異常の関与が示唆されるが、そのメカニズムはほとんど明らかになっていない。本研究では、ヒトのアトピー性皮膚炎と類似した症状を呈するモデルマウスを用いて、痒み行動増悪の脳内メカニズムを解析した。掻痒行動増加に関与する脳部位の特定には至らなかったが、アロプレグナノロン以外の神経ステロイドが痒み行動の増悪に関与する可能性を新たに見出した。本知見は、アトピー性皮膚炎の痒みの発症メカニズムのさらなる理解および治療薬の開発の一助になると思われる。
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