研究課題/領域番号 |
19K07337
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
岸本 泰司 帝京大学, 薬学部, 教授 (90441592)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プラセボ反応 / マウスモデル / 尾部懸垂試験 / 条件づけ / 鎮痛効果 / 抗鬱効果 |
研究実績の概要 |
マウスに対するプラセボ鎮痛条件づけの分子メカニズムをさらに探索した。方法は以下の通りである。4日間連続 (午前/午後の交互に) で、Context A+処置なし、もしくはContext B + 鎮痛薬のホットプレート鎮痛条件づけを行なった。5日目午前は、Context B +生理食塩水の条件に変えてマウスをホットプレートに乗せ、4日目のContext A+処置なしからの潜伏時間の上昇率を個体ごとに計算 し、これをプラセボ反応の指標とした。5日目午前に、生理食塩水の代わりに、ドパミン受容 体D2, D3拮抗薬Amisulpride、ドパミン受容体D2, D3作動薬Pramipexole、内在性カンナビノイド受容体 CB1拮抗薬Rimonabantを投与した。 今年度は鎮痛薬に関してモルヒネの他、アスピリンも用いたが、アスピリンでは鎮痛効果そのものがほぼ生じないという結果であった。 今年度はさらに、尾部懸垂試験を用いて、うつ病関連反応の調節におけるケタミンによるプラセボ条件づけの効果を検討した。方法としては、様々なコンテクストを組み合わせたオープンフィールド装置で1時間滞在させることをCS、ケタミン腹腔投与をUSとした。その結果、4回のCS-US提示(ケタミンの残留効果を考慮し、各条件づけ試行の間隔は2週間とした)により、CSのみで尾部懸垂試験における有意な無動時間の減少が見られた。またこの効果はCS提示後 24時間以降も続いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画の根拠となっていた論文について、鎮痛薬の耐性などの問題があり一部再現性を取ることが難しい状況があり、その後の研究に困難がある。また本課題採択時に所属していた機関に在籍している共同研究者と地理的に離れたこともあり、モデルマウスの導入に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
鎮痛に関するプラセボ条件づけのみだけではなく、尾部懸垂試験を用いた抗うつ効果に関するプラセボ条件づけも用いて当初の計画を進展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初のプラセボ鎮痛条件づけで使用するはずだった試薬や動物の一部を、別の抗鬱条件づけに充当したため、結果的にこれら動物や試薬の使用が少なく済んだ。翌年度、プラセボ条件づけの実験に使用する。
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