研究課題
基盤研究(C)
私たちは以前に人工多能性幹細胞(iPS細胞)を分化することで得られた巨核球株に増殖を促進する遺伝子を導入し、不死化巨核球株imMKCLを作製していた。培養条件を変えるとimMKCLは成熟を開始し、proplateletと呼ばれる突起を伸ばして血小板を放出するが、その割合は低く、proplateletを形成するのは一部の細胞に限られていた。今回、proplateletを形成する細胞とそうではない細胞の間で網羅的な遺伝子発現の比較解析をシングルセルレベルで行い、両者の違いを明らかにした。
分子生物学
血小板製剤は止血が必要となる様々な局面で使用される不可欠な医療製剤であるが、現在は献血のみに依存している。また、使用期限が4日と短いことから将来において供給の不安定化が懸念される。私たちはこうした問題に対処するため人工血小板の産業的生産を目指して不死化巨核球株imMKCLを樹立した。しかし、imMKCLは成熟が不均一で一部の細胞しか血小板を放出しないことが、人工血小板の産業化を妨げている。今回の研究成果は、その不均一性の原因を解明する手がかりを与えるものと期待できる。