乳癌組織で合成されるアンドロゲンが腫瘍組織中に浸潤するリンパ球に与える影響について病理組織学的に解析を行った。乳癌細胞におけるアンドロゲン受容体の発現とリンパ球浸潤、特にCD3陽性T細胞の浸潤の間に逆相関が認められ、この傾向はアンドロゲン合成酵素である5alpha-reductase type 1 (5alpha Red1)陽性症例において特に顕著であった。一方、5alpha Red1自体はリンパ球浸潤と有意な関連性を示さなかった。 以上のことから、乳癌細胞にアンドロゲンが作用し、リンパ球の遊走を制御する因子の発現が誘導されて乳癌組織へのリンパ球浸潤が抑制される可能性が示唆された。
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