研究課題/領域番号 |
19K07439
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
伊丹 弘恵 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20769020)
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研究分担者 |
中井 登紀子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00619538)
武田 麻衣子 独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター, その他部局等, 臨床検査科医師 (40398441)
藤井 智美 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50623477)
畠山 金太 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (60325735)
大林 千穂 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90223940)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 悪性中皮腫 / HEG1 / マイクロRNA |
研究実績の概要 |
悪性中皮腫はアスベストに関連し発症する極めて予後不良の腫瘍であるが、早期診断が難しく、また病理学的にも診断の難しい疾患である。悪性中皮腫における分子診断や分子標的療法への応用としてmiRNAを含めた種々の分子が検討されてきているが、実用化されている分子は未だに存在しておらず、鍵分子となり得る遺伝子の特定と機能解析が急務である。2017年に悪性中皮腫の有用な免疫染色抗体としてSialylated Heart development protein with EGF like domains 1(S-HEG1)が発見された。S-HEG1は従来の中皮腫診断のための免疫染色抗体に比して特異度、感度が非常に高いものの、発現機序や機能については不明の点が多い。我々は数種の中皮腫細胞株を用いたHEG1の機能解析により、HEG1がオートファジー抑制を介した細胞増殖促進に関わることを見出した。 本研究では、1)HEG1の機能について細胞増殖を中心に分子レベルで解明し、悪性中皮腫におけるHEG1の位置付けを明らかにすることで病理組織診断および予後との関連性を明らかにする、2)HEG1の発現に関連するmicroRNA(miRNA)を探索し、miRNAとその標的候補分子の機能解析によって増殖機構を中心とした分子機能を明らかにし、HEG1およびmiRNAとその標的候補分子による早期診断と予後予測、さらには分子標的治療の端緒とすることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HEG1の発現抑制により、肺腺癌細胞株H1299ならびに悪性中皮腫細胞株のMESO1, MESO4いずれにおいても細胞増殖が抑制された。悪性中皮腫細胞株ではHEG1の発現抑制によりアポトーシスならびにオートファジーいずれも誘導されたことから、HEG1は抗アポトーシスおよびオートファジー抑制により、中皮腫の細胞増殖能を維持していることが示唆された。 これらの成果は当該年度の研究進捗として予定通りと考える。
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今後の研究の推進方策 |
中皮腫の組織中に発現するmiRNAと関連分子について関連性を検討する。同時にHEG1との関連性を検証するため、免疫組織化学染色結果を踏まえて検討する。培養細胞での実験と矛盾する場合は、miRNAとの選択及び候補分子の推定を再度検討し直す。
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