研究課題/領域番号 |
19K07512
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
仲矢 丈雄 自治医科大学, 医学部, 准教授 (80512277)
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研究分担者 |
永井 良三 自治医科大学, 医学部, 学長 (60207975)
相澤 健一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70436484)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | KLF5 / 天然変性蛋白 / 分子創薬 / 大腸癌 / Wntシグナル |
研究実績の概要 |
我々は、iPS/ES細胞の維持、誘導に必要な転写因子KLF5が、腸上皮幹細胞からの腫瘍形成、大腸癌発生に必須であることを解明した。ここから、KLF5がヒト大腸癌の重要治療標的と考えられた。しかし、KLF5は3次元立体構造の解明が困難な天然変性蛋白であるため、立体構造に基づく阻害薬開発ができない。 そこで、我々は、通常はdisorderedであるが、蛋白間相互作用を行うとαヘリックス構造をとり蛋白間相互作用の場となるinduced helical motifに着目した。KLF5のinduced helical motifをアミノ酸配列のみから数理的に予測し、その予測部位VAIFのαヘリックス構造を模倣した低分子化合物であるNC化合物を開発した。 NC化合物は、ヒト正常細胞を傷害せず、ヒト大腸癌細胞を選択的に抑制死滅させる。また、マウスに移植したヒト大腸癌細胞の腫瘍の増大は、NC化合物の投与によりin vivoで有意に抑制される。さらに、NC化合物は、ヒト大腸癌細胞において、大腸癌形成に重要であるWntシグナルの活性化を抑制する。また、NC化合物は、KLF5蛋白と、KLF5蛋白の脱ユビキチン化酵素であるUSP3との間の蛋白複合体形成を阻害し、KLF5の蛋白量を減少させる。 これらの結果は、予測induced helical motif模倣低分子化合物という我々のアプローチが、分子標的薬の創製が困難な天然変性蛋白に対する創薬において有望であることを示す。
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