頭頸部扁平上皮癌や食道扁平上皮癌には明確なドライバー遺伝子が見出されておらず、遺伝子異常に基づいた分子標的薬の開発が進んでいないがんのひとつである。メタボローム解析は、代謝経路の理解から、がんが生存するメカニズムを解明する有効な手段として注目されている。代謝経路とともにがんの生態を俯瞰的に理解することで、がんの新たな生物像を明らかにし、遺伝子異常のみに頼らない新しい治療法が期待される。我々の検討では、エピゲノム制御に関わる代謝物を見出していることから、代謝の変化とエピゲノム変化が連動し、その結果がんの形質が作られる可能性を指摘でき、新しい視点からのがんの生物像の理解と治療法の発展に寄与できる。
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