稀少癌である腺様嚢胞癌 (ACC) は、長期予後不良な唾液腺型腫瘍である。局所再発や遠隔転移が頻発し、実臨床では有効な阻害剤が切望されてきた。しかしながら、これまで有効な阻害剤に関する知見は乏しく、有効な治療法の確立は困難である現況にある。疾患の稀少性と診断の困難さはもとより、阻害剤の効果を評価し、詳細な分子生物学的解析をするための有用な実験モデルの欠如も原因の一つである。本研究では、腺様嚢胞癌に加えて、同様に唾液腺型腫瘍に分類され、きわめて予後不良かつ標準的な薬物療法が十分に確立されていない唾液腺導管癌 (SDC) の患者検体より、実験モデルの樹立を行った。
|