コミュニケーションの際に個体が相手からの情報をもとに自らの行動を変化させたり相手を記憶しようとしたりする社会的動機づけが形成されるメカニズムは不明である。 本研究では、社会的動機づけや社会性記憶を形成する脳の内的状態が外部刺激の影響により変化する仕組みを明らかにする目的の下で、ラットの嗅覚を介したコミュニケーションに関わる神経回路において感覚受容の一次中枢(嗅球)と情動に関わる脳領域(視床下部の乳頭体前核)の間に位置する前嗅核が、同種個体を忌避する異常な社会的動機づけを司ることを見出した。本研究により社会的動機づけがコミュニケーションと社会生活に果たす役割の一端が明らかとなった。
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